「祇園会」


 
あらすじ 京見物の江戸っ子の三人旅は、三条大橋を渡って京に入った。二人は女郎買いで遊び過ぎて金を使い果たして江戸に帰ってしまい、留吉だけが伯父さんの所に世話になっている。

 祇園祭のある日に、伯父さんの友達らと見物がてら祇園のお茶屋に上がる。酒を飲み交わすうちに京と江戸の自慢話になる。「伏見の酒は天下一」ぐらいはよかったが、京の者は江戸は犬の糞ばかりで、「武蔵江戸」でなく、「むさいへど」なんて相手の悪口まで飛び出て来た。京者は「祇園の祭を見て、目の玉でんぐり返さんように。山鉾囃子も、ゴンゴンチキチキ、ゴンチキチ・・・・と王城の地で上品だ」と、鼻高々で江戸者の留吉を馬鹿にして見下している。留吉も、「何言ってやがる。なんて間抜けなお囃子だ。神田祭三社祭のお囃子は・・・・」と言い争いはエスカレートして行く。

 そこへ運よく、およくと言う芸妓が入って来た。祭礼の日でほかの芸妓は出払っておよく一人しか残っていないのだ。年増のけっこういい女だが、名前のとおりが深くて、「あんたはんの御商売なんどすえ」と聞いて、それが欲しいとねだりごとばかりするので評判が悪いのだ。女将からそのことを聞いていた留吉らは、ねだってもとてもやれないような商売を言うことにしようと相談済なのだ。

 案の定、およくは座敷に入って来るなり、「あんたはんの御商売なんどすえ」、京の者が飛脚屋だと言うと、およくは「あんたはんに御無心がありまんのや、わてのお客はんが尾張の名古屋にいるさかいに手紙を届けておくれやす」。もう一人が石屋と言うと、「おっかさんの石塔を建てておくれやへんか」と、一枚上手だ。次は留吉に、「こっちゃのお客さんは江戸の方やおますなぁ、あんたはんの御商売なんどすえ」
留吉 「俺は死人を焼く商売のおんぼうだ」

およく 「そうどすか。おんぼうはんに御無心がおます」

留吉 「おんぼうに無心とは何だ」

およく 「わたいが死んだらなぁ、ただで焼いておくんなはれ」


     





祇園花見小路

桂文治(八代目)の『祇園会【YouTube】




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