「羽織の遊び」


あらすじ 町内の若い連中、吉原へ遊びに行きたし金はなし。キザでいやな奴だが、金持ちで遊び人の伊勢屋の若旦那を取り巻いて、よいしょして、たらし込み、お伴で連れて行ってもうらおうと算段する。

 そこへちょうど通りかかったのが伊勢屋の若旦那だ。歩き方からなよなよくねくねで、鼻持ちならないが、「よぉ若旦那」と声をかける」

若旦那 「おや、コンツィア、昨日は仲(吉原)へ繰り込み、青楼(遊郭)へふけりまして、ショカボ(初会惚れ)のベタボ(べた惚れ)で」、なんて意味不明な日本語で、「一時には、マナコの中に熱燗の酒を注がれ」、「二時には簪(かんざし)を鼻の穴に」、「三時には、みぞおちの辺りを尻でぐりぐりっと」、と長いノロケ話で「明け方にはのど笛を喰らいつき」、まるで化け物屋敷だ。

 魂胆がある連中はじっと我慢して聞き流し、今晩は是非ともお伴をお願いしたいと持ちかける。

若旦那 「セツ()の上がる店は大見世ばかりでゲスから、半纏着を相手にいたしやせん。是非とも羽織と帯のご算段を願いとうございますな」ときた。吉原へ行けるとなればと、町内の連中は、それぞれ羽織を調達に行き、いろんな羽織姿で再び全員集合だが、八五郎だけは羽織を着ていない。

 若旦那は羽織がなければダメと、きびしく、つれなく、意地が悪い。どうしても吉原へ行きたくてうずうずで、仲間はずれになるのもいやな八五郎は親方の所へ借りに行く。あいにく親方は留守。

おかみさんに「吉原にお伴で遊びに行く」と馬鹿正直にぶち明けると、「祝儀不祝儀でなければ貸せない」と頑固で、冷たい返事。祝儀不祝儀も知らない八五郎、とんちんかんな事ばかり言っていたが、冠婚葬祭と教えられ、長屋の葬式に着て行くと安直に答える。

おかみさん 「一体、誰が死んだんだい?」

八五郎 「羅宇(らお)屋の爺さん」

おかみさん 「いつ死んだんだい?」

八五郎 「夕べの夜中に」 

おかみさん 「馬鹿をお言いでないよ。さっき家の前を歩いていたよ」

八五郎 「海苔屋の婆さんだ」

おかみさn 「今二階で縫い物仕事をしているよ。一体誰が死んだんだよぅ」

八五郎 「そのうち誰か死ぬでしょう」


        


古今亭志ん朝の『羽織の遊び【YouTube】

与太郎さんは『錦の袈裟』で吉原でもてた。


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