「初音の鼓」


 
あらすじ 骨董好きの殿さまの屋敷に古道具屋吉兵衛が一儲けしようとやって来る。
三太夫が今日は何を持って来たのか聞くと、義経が静御前に与えた「初音の鼓」という。
三太夫「これは珍しい、本物か」、吉兵衛「まさしく真っ赤な偽物で」と、しゃあしゃあしている。吉兵衛は、この鼓を打てば目の前に生き物が現れる不思議が起こると言って殿様に百両で売りつけ、三太夫には三十両やると買収し、殿さまの御前へ上がった。殿さまは初音の鼓と聞いて珍しがり、手に取って明るい庭に出て鼓を調べ出した。ちょうど庭の手入れに夫役(ぶやく)で来ていた百姓が、殿さまの姿を見て目障りになってはいけないと縁の下に隠れた。殿さまは鼓が気に入ってポンポンと強く打ち出した。その音が縁の下に大きな音となって響いて、驚いた夫役の農民が飛び出して来た。
殿さま 「真っこと、目の前に不思議が現れおった。その方らは何だ?」

百姓 「夫(ぶ)に参った者でごぜぇます」

殿さま 「何の夫じゃ」

百姓 「ただの夫で」

殿さま 「忠信か、初音の鼓を打って忠信が出るとは面白い。屋島、壇ノ浦の合戦の話をいたせ」

百姓 「そんな難しいことは存じません」

殿さま 「そちが知らんければ誰に聞くのじゃ」

百姓 「へへぇ、次の夫継信)にお聞きくだせぇ」


 


 初音の鼓②』も似たような噺で、義経千本桜の狐忠信のパロディ落語の『猫の忠信』もある。




「義経千本桜四段目」の狐忠信(源九郎狐)と静御前




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