★あらすじ 町内の美人の小唄の師匠を張り合っている長屋の連中。芸の上達は二の次で、皆あわよくば師匠をなんとかしようという下心を持った狼連だ。
今日も集まって稽古の様子や師匠のうわさをしていると、鉄ちゃんが入ってくる。いい男が出来たからもう師匠のことはあきらめろという。鉄ちゃんが稽古屋を覗いてみると、建具屋の半公と師匠が火鉢をはさんでよろしくやっていたという。
連中は半信半疑で、師匠の家に手伝いに行っている与太郎に問いただすと、二人は鉄ちゃんの言うとおりの仲らしい。与太郎は師匠が長屋の連中のことを有象無象なんて馬鹿にしていることまで暴露する。
今日、師匠、半公、与太郎の三人で柳橋から舟を出し大川(隅田川)に涼みに行くという。おさまらない連中は自分たちも舟を仕立て、師匠たちの舟に近づき笛、太鼓の馬鹿囃子で驚かして邪魔をしてやろうと大川へ繰り出す。
師匠の三味線で半公が唄いだそうとする所へ舟を近づけ、ドンドン、ピイヒャラ、テケテケ、チキチッチと大きな音で囃し立てる。怒った半公が屋根舟から顔を出し連中と言い合いになる。
半公 「なにをべらぼうめ、師匠を煮て食おうと焼いて食おうとこっちの勝手だ、何言ってやんで糞でもくらえ」
長屋の連中 「なに、糞でもくらえ」
半公 「糞でもくらえ」
長屋の連中 「糞をくらうから持って来い」
そこへ肥舟が一艘、すう−と入ってきて、 「汲みたていっぺい(一杯)あがるけえ」
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