「粗忽の釘」   柳家小三治

 
★あらすじ★  粗忽者の亭主、引越し先にタンスを背負って出ていくが出て行ったきりで、引越しが終わる頃やっとたどり着く。
女房に元の家を出てから、ここに着くまでのいきさつをタンスを背負ったままで長話をする。

女房にほうきを掛ける釘を壁に打ってくれと言われ、長い瓦釘を壁に打ち込んでしまう。
隣の家の物を壊したかも知れないから、行って謝るように言われ向いの家へ行く。
話が通ぜずやっと向いの家までは瓦釘でも届かないことに気づき隣の家へ行く。
落ち着こうとして上がりこみ、お宅は仲人があって一緒になったのかなどと言い出し、なかなか用件を言わない。

やっと釘のことを切り出し、家の中を見てもらうと仏壇の阿弥陀様のおでこから釘が出ている。
粗忽者の亭主の一言で落ちとなる。

「えらいことだ、明日からここにほうきを掛けに来なくちゃならない。」


         


 
★見聞録★
   昭和59年にNHKの「日曜招待席」から録画したのを見ました。
22年前になりますが、小三治の風貌は今とあまり変わっていないようです。

芝浜」「千両みかん」などの大ネタも得意ですが、この噺のような軽く、笑いの多い話も味があり好きです。
ことに、粗忽者の亭主がやっと引越し先にたどり着き、女房に言われるまで重いタンスを背負ったまま長話をする所はおかしいです。
小三治の顔が、あわてもので人の良い亭主に見えてきます。

壁に瓦釘を打ち、隣の家へ謝りに行き落ち着こうとして、自分達夫婦のなれそめ話をする所もおかしいです。
そして、最後の落ちで、どっと笑いが起きました。

小三治は昭和14年生まれ、今年(平成18年)で67才になります。
志ん朝が生きていたら東京の落語界を二人で背負う大看板でしたでしょう。

小さんを襲名しなかったですが「小三治」として長生きし、後世に残る名人になって欲しいものです。
柳家小さんの『粗忽の釘【YouTube】

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