「豊竹屋」


 
あらすじ
 義太夫に凝り固まった豊竹屋節右衛門、何にでも節をつけ義太夫調で語らなければ収まらない。今朝も朝湯に行って節をつけて長湯に入り、のぼせてひっくり返って帰って来る。
朝飯のお碗の蓋を取るなり「ちちん、お碗の蓋ぁ〜、開くぅればぁ、味噌汁八杯豆腐、煮干の頭の浮いたるは、怪しかりけるぅ〜」と、興奮して大声を張り上げ、お膳を引っくり返す騒ぎ。

 そこへ浅草三筋町三味線堀に住む花林(かりん)胴八という、でたらめの口三味線を弾くのが好きという男が節をつけながらやって来た。この男も大の義太夫狂で、節右衛門の噂を聞いて、是非とも手合わせ願いたいと訪ねて来たのだ。節右衛門さんは大喜び、かみさんはまた一人変なのが増えて大迷惑だ。

 早速、二人の競演バトルの開始だ。隣家の婆さんが洗濯する音が聞こえると、「隣の婆さんせんだあくぅ、ううぅ〜」に、胴八「はぁ、じゃっじゃっじゃっじゃじゃ。はぁ、しゃぽぉん」。
「二十五日のぉ〜、ご縁日ぃ〜」、胴八「はっ、てんじん(天神)さん」。

 「りんを振ったゎ〜、ゴミ屋〜かぇ〜」、「はぁ、ちりちりん、ちんりんちんりん、ちり(塵)積んでゆく」。
「去年の暮れのぉ、大晦日ぁ〜、米屋と酒屋に責められ〜、てぇ」、「てんてこ舞い、てんてこ舞い」。
いよいよ佳境に入って乗って来て、「子供の着物を親が着てぇ」、「はぁ、つんつるてん」。
襦袢(じゅばん)に袖のないものわぁ〜」、「はぁ、ちゃんちゃんこ
「そばに似れどもそばでなく〜、うどんに似れども、うどんでなく、酢をかけ蜜かけ食べるのは」、「ところてん(心太)、かんてん(寒天)」。
「おなかこわしてぇ〜、かようぉのは」、「はぁ、せっちん、せっちん」と、やっていると、
棚から鼠が三匹。節右衛門が、「あれあれ、むこうの棚に、ねずみが三ついでて睦まじく、ひとつの供えを、引いてゆ〜く」と、節付けすると、鼠まで節をつけて「チュウチュウチュウチュウ」
胴八 「いやあ、節右衛門さんとこのねずみだけあって、よく弾き(引き)ますな」

節右衛門 「いやぁ、ちょっとかじるだけで」




三遊亭圓生の『豊竹屋【YouTube】


   

三味線堀近く(小島1丁目)

不忍池から忍川でこの堀に注がれ、更に隅田川に通じていた。





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