「本能寺」  桂米朝

 
★あらすじ ごく古風な芝居咄です。芝居小屋に無料入場する客のことを青田といいます。青い田んぼは銭にならん、黄色く実らないとお金にならないからです。

 舞台は本能寺小田春長(織田信長)が奥書院の間で森蘭丸や家来たちと、北国や中国の毛利勢のことなどを話している。

 そこへ武智光秀(明智光秀)が願の儀があって春長に目通りしたいとやって来る。奥へ通された光秀、中国討手の人数に加えて欲しいと願い出るが、春長に罵倒される。

 光秀は春長に「猛きばかりが武夫(もののふ)ならず」など諌めるが、春長は激怒して、蘭丸に命じ光秀を打つ。

光秀 「いかほどお願い申しても」

春長 「くどいことだ」

光秀 「ぜひに及ばぬ・・・時は今 天がした知る五月かな」と、手裏剣を「忠孝」と書かれた額へ投げる。これを合図に光秀の軍勢が押し寄せ大立ち回り。まさに光秀謀反、本能寺の変のクライマックスだ。

 するとぎょうさんのイナゴが舞台へピョンピョンと上がって来た。客席の一番前で見ていた、田舎から出てきたお婆さん、孫へのみやげで捕ったイナゴを紙袋に入れて持っていたのが、芝居に夢中になり紙袋の口がゆるんでイナゴが這い出してきたのだ。

 役者は顔や体に飛びつくイナゴを追い払い、つかみ捨ての大立ち回りだ。

役者1 「ちょっと待て、ちょっと待て、舞台じゅうイナゴだらけやがな。なんでこんなにイナゴが出てきたんやろ」

役者2 「おおかた、前のお客が青田らしいわい」

 収録:昭和59年

                                 

米朝は、上方の芝居噺には二つの種類に分けることができるといいます。一つは、芝居の一幕、一場を初めからしまいまで、鳴物囃子を入れながら、いろいろ動いてしゃべるという形のもので、「本能寺」はこの形です。もう一つは、普通の落語と同じ型式でやっているうちに芝居がかりになるもので、「蔵丁稚」・「足あがり」・「七段目」などです。
「本能寺」型は楽屋に手(三味線、笛、太鼓、ツケ打ちなど)が揃ってなければやれない噺で、4、5人は必要だそうです。

現本能寺は、京都市中京区の京都市役所の前にありますが、本能寺の変の頃は、西洞院蛸薬師付近(石碑あり)にあり、秀吉により現地に移されました。


露の五郎の『本能寺@』・『本能寺A【YouTube】



現在の本能寺


織田信長の墓(本能寺境内)


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