*雷門助六さんが80歳の時の高座です。ゆっくりではありますがしっかりした口調で演じています。長男と次男の葬式の出し方は演者によりいろいろ変えています。春風亭小朝は日比谷公園でなく、ディズニーランドにしていました。
けちべえさんの「けち」の仕方は徹底して見事で、ここまでしても店の奉公人たちがついてきてくれればお金も貯まるでしょう。
サゲの一言がこれまたさすがの面目躍如の傑作で、けちべえさんならではの哲学すら感じます。実際、棺から起きだして後棒を担ぎ出したかも知れません。そのくらいの気構えとけち根性の持ち主です。
まあ折角けちべえさんが一代で築き上げた身代も、三人息子によって食いつぶされてしまいそうです。三男の話も、けちべえさんのけちに合わせての作り話臭く、本当の魂胆はどんなものでしょうか。葬式の出し方を気にするようなちょっと弱気になったけちべえさんですが、こんな様子ではそう簡単には死ねないと気を取り直し、三人の息子を鍛え直し、立派に後を継ぐ「けちの赤螺屋二代目」を育てる決心をしたことでしょう。
*赤螺は、海産の巻貝。殻は高さ20cmほどの拳(こぶし)状で厚く堅固。この貝がふたを閉じた様子を、しっかり物を握った拳に見立てて、非常にけちな人をあざけっていう語。(三省堂大辞林 |