「子別れ 下」(子は鎹(かすがい))

 
あらすじ ある日、熊五郎はお店(たな)の番頭と茶室に使う木口木場へ見に行く。途中で前の花魁の悪妻女房、その前の亀吉の母親の良妻賢母のお徳の話や、亀吉が好きだったまんじゅうの話などする。まんじゅう屋の前を通るとつい亀吉のことを思い出して涙ぐんでしまい、店の職人から「清正公様の申し子じゃないか」と言われたという。

話ながら歩いていると番頭が亀吉が歩いてくるのを見つける。熊五郎は番頭を先に行かせ亀吉に話かける。別れた女房のお徳は独りで仕立ての針仕事をして亀吉を育てているという。熊五郎はこれまでのことを亀吉に詫び、50銭の小遣いをやり、ウナギを食わせるから明日また会おうと約束する。

家に帰った亀吉は母親の手伝いをしている時にお金を持っているのを見つかり、どういう金が詰問される。父親との約束で顛末を言わない亀吉に、お徳は「どこから盗んだか言わないと玄翁(げんのう)で叩くよ」 ついに亀吉は泣きながら父親に会ったことなどを話だす。

あくる日、亀吉は約束通り父親とウナギを食べていると、鰻屋の前を母親が行ったり来たり。亀吉は母親を座敷へ引き入れ、やっと両親が再会し、ご対面となるが二人とも堅くなり、照れて他人行儀でもどかしい。亀吉の「元のように3人で一緒に暮らしてよ」の一言で熊五郎はお徳に頭を下げ、元の鞘に収まる運びとなった。
お徳 「こうやって夫婦が元の鞘に収まれるのも、この子が有ったればこそ。お前さん、子は夫婦の鎹(かすがい)ですね」。

亀吉 「え、あたいかい、それで昨日、おっかさんが頭を玄翁でぶつといったんだ」




     


 
*木場は、江戸時代初期から江戸への建設資材の集積場。新しい埋立地が完成して、今までの貯木場としての機能が新木場へ移転したため、木場公園として整備された。
深川木場』(広重「名所江戸百景」)

*「清正公様の申し子」は、加藤清正は家康によって毒まんじゅうで暗殺されたという俗説から。これをもとにした『清正公酒屋』という噺もある。「清正公」は『井戸の茶碗』にも登場する。港区白金台に「清正公覚林寺」、中央区日本橋浜町には「清正公寺」がある。





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