「清正公酒屋」

 
あらすじ 清正公を厚く信仰して繁盛し、「清正公酒屋」と呼ばれている酒屋のせがれ清七は、筋向いのまんじゅう屋「虎屋」の娘のお仲といい仲になる。
虎屋に遺恨がある清七の父の清兵衛は思い切れというが、勘当されてもいやだという。仕方なく分家へ預ける。一方のお仲も芝の母親の実家に預けられる。
お仲は婆やを通じて酒屋の小僧に手紙を渡し、清七のもとへ届く。一緒に連れて逃げてくれという文面だ。
暗夜をえらび清七はお仲を連れ出し、心中の道行となる。

(芝居がかりとなり)
清七 「七つの鐘を六つまで聞いて、残る一つは冥土へ土産、覚悟はよいかお仲」
お仲 「南無阿弥陀仏」
清七 「南無妙法蓮華経」、うーんやっぱり死ぬときは南無阿弥陀仏がいいね。
清七・お仲 「南無阿弥陀仏」

お仲が海へ飛び込む。清七も追って飛び込もうとすると、
「これ待て清七 早まるな」と清正公大神祇に押さえられる。
清七 「清正公様でございますか、お助くださるならお仲もお助けください」

清正公 「娘は助けるわけにはいかん、まんじゅう屋の娘だ」



 

 
加藤清正は徳川家康に毒まんじゅうで殺されたという俗説をもとにした噺で、「清正公」を信仰する酒屋と、「まんじゅう屋」その名も加藤清正虎退治の「虎屋」で仇同士、両家の日蓮宗と浄土宗の相違など、清七・お仲の「ロミオとジュリエット」噺です。この後、お仲をどうなったのでしょうか。たわいない噺とはいえちょっと気になります。

清正公は『井戸の茶碗』、『子別れ 下』にも登場し、心中の場面は『小言幸兵衛』を思い出させます。『太閤の猿』にも登場しますが、あまりいい役柄ではありません。


立川談志の『清正公酒屋【YouTube】



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