「節分」


 
あらすじ 昔は大晦日に勘定が取れない時は、節分に貰うという慣例があった。
暮れの掛取りはなんとか凌いで新年を迎えたが、すぐに節分が来てまた借金取りたちがやって来ることになる。
女房 「お前さんどうすんだよ。また借金取りが来るよ」

亭主 「今さらジタバタしたって仕方ねえや。また借金取りの好きな事をやって追い返そうじゃねえか」
女房 「またやるのかい。そんなに二番煎じが効くもんじゃないよ」、すると芝居好きの酒屋の番頭が役者気取りでを作ってやって来た。

番頭 「ええ~、ごめんくださいなすてぇ」

亭主 「近ぅ~、近ぅ~・・・」、番頭が「へへぇ~」と、近づいて来ると、睨みをきかせて、「行けぇ~」と一声。番頭は、「はっ、ははは~っ」と、帰ってしまって大成功。

 隣家に魚屋の金さんが入るのを見て、
亭主 「おい、魚金の好きな物はなんだ?」

女房 「端唄に凝っているらしいよ。それとだよ」

亭主 「端唄なんて洒落たものはだめだ。よし、番茶を薄めて徳利に入れて持ってこい」、魚金が入って来ると酔ったふりをして、「♪福は~内~」

魚金 「おお、嬉しいじゃねえか。借金取りに来たのに福は内てえのは」、亭主から酒を勧められ番茶酒を飲んで渋い顔。

 亭主 「すまねえが少し待ってくれ、近えうちにケリつけて必ず返(けえ)すから。官女(勘定)、官女(勘定)をとおり(取り)、とおり・・・金取りだ金取りだ、外で怒鳴ってまたかし(貸)ょとりに、庭は一つ心は二つ三ツ又の、借りは世間に有明の、月の八日はお薬師さまよ、ほかに祈るは関の地蔵さま、ほんにあらゆる神様を小町を持って通ったが、念が届いてありがたく、一夜あくればまた気も変わる。春風になるまでまた待つ(松)尽くしと願います」

魚金 「恐(おっそ)ろしく端唄並べやがったな。かねてより口説き上手とわしゃ知りながら、おめえのうちに来る良さは、柳、柳で受け流し、秋の夜までじゃ長過ぎりゃ、むっとして帰れば角の青柳で、貸したもんを我が物ぶられたしにゃあ腹も竜田川、じゃねえか」

亭主 「へえ、何しろ去年の暮れから今年にかけ、すべてのしょしきは高砂やこの浦舟に帆が立たねえ始末、下妻の申しますには、わしが国さは越後の角兵衛獅子、ござれござれと申しますから、ひとまず国へ立ち帰り、辛抱、高台寺朝顔から夕暮れまで稼ぎまして、ほうぼう様の借金を、梅が枝の手水鉢、叩いてお金が出た時にゃ、梅にも春といたします。待つ(松)は唐崎と願います」

魚金 「えれえ、端唄尽くしで言い訳か、気に入った待ってやろう」と、帰ろうとする魚金を引き留めて亭主は酒をおごってくれとせがむと、魚金は女房を三河屋へ買いに行かせ、ついでに店からフグを持って来るように頼んだ。

 本当の酒が来て、フグ鍋を煮ながら酒を飲み始めた二人、
亭主 「ありがてえな、酒飲めばいつか心も春めいて借金取り(鳥)もうぐいすの声てえ気分だ。よお、金さん得意の端唄やってくれよ」

魚金 「今日は節分だから酒尽くしで厄払いの真似事をやろう。あ~ら、飲みたいな、飲みたいな。飲みたき今宵のご祝儀に、酒尽くしにて払いましょ。一夜明くれば屠蘇(とそ)の酒、百薬の養老酒には高砂の上に群がる沢の鶴、下には亀の万年酒、老いも若いも若緑、気性は東自慢の男山、飲めや滝水年頭の、足もひょろひょろお目出度く、帰りが遅く長つんめ、ご新造さんが菊正の胸に一物剣菱や、わたしが甘いみりん故、福娘でも甘酒か、本に悋気の角樽や、堪忍しておくれはよい上戸、冷でないから案じます、白鹿心の角も取れ、丸く収まる丸腰の寿命を保つ保命酒や、金婚まさに相済んで、君、萬歳のその習い、いかなる洋酒のウイスキー電気ブランが飛んで出て、妨げなんとする時に、この白鷹がひと掴み、西の海とは思えども、酒尽くしのことなれば、新川新堀へさら~り、さら~り

亭主 「ありがとう、目出度いね。おお、フグが煮えたから口開けな、フグは~口~」と、フグを魚金の口に放り込んだ。

魚金 「おいおい、乱暴なことするなよ」

亭主 「骨は~外~


   

       

春風亭柳枝(八代目)の『節分【YouTube】







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