★あらすじ★ 夏真っ盛りの昼間、野幇間(のだいこ)の一八は、通りかかった「どこかで見たような男」に必死で食い下がり、首尾よく近くの鰻屋に連れて行ってもらう運びとなる。
近くの小汚い店に入ると2階から子どもが手習いの机を抱えて下りてきた。どう見ても繁盛している店ではない。
汚くてまずい鰻屋の二階で、男は便所に行くと言って、なかなか戻ってこない。一八はここが忠義の見せ所と迎えに行くと便所はもぬけの殻、女中に聞くと先に帰ったと言う。
一八は客は気をきかせて帰ったのだ、ああいう客をしくじっては幇間の名折れだなんて勝手に思い込んでいるが、女中と話がかみ合わない。男はそのまま食い逃げ、とんずらしてしまったのだ。おまけに3人前の土産まで持って行ってしまった。
一八は全部自腹を切らされ、女中に当たり散らす。仕方なく帰ろうとして玄関に下ると下駄がそろえてある。
一八 「こんな小汚いゲタを芸人がはくかい。けさ買った5円のゲタだ」
女中 「あれは お供さんがはいてまいりました」
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