「鰻の幇間(たいこ)

 
★あらすじ★ 夏真っ盛りの昼間、野幇間(のだいこ)の一八は、通りかかった「どこかで見たような男」に必死で食い下がり、首尾よく近くの鰻屋に連れて行ってもらう運びとなる。

 近くの小汚い店に入ると2階から子どもが手習いの机を抱えて下りてきた。どう見ても繁盛している店ではない。

 汚くてまずい鰻屋の二階で、男は便所に行くと言って、なかなか戻ってこない。一八はここが忠義の見せ所と迎えに行くと便所はもぬけの殻、女中に聞くと先に帰ったと言う。

 一八は客は気をきかせて帰ったのだ、ああいう客をしくじっては幇間の名折れだなんて勝手に思い込んでいるが、女中と話がかみ合わない。男はそのまま食い逃げ、とんずらしてしまったのだ。おまけに3人前の土産まで持って行ってしまった。

 一八は全部自腹を切らされ、女中に当たり散らす。仕方なく帰ろうとして玄関に下ると下駄がそろえてある。

一八 「こんな小汚いゲタを芸人がはくかい。けさ買った5円のゲタだ」

女中 「あれは お供さんがはいてまいりました」


                

野幇間とは、正式な師匠に付かず、見よう見まねの素人芸と、ヨイショとベンチャラだけで座を取り持つ幇間、太鼓持ち。遊興・道楽三昧の放蕩の果てに勘当された大家の若旦那などもいた。「幇間もち あげての末の 幇間もち」
「野だいこ」といえば、夏目漱石の『坊ちゃん』に登場する教頭「赤シャツ」の腰ぎんちゃくの画学の教師が思い浮かぶ。

幇間が登場する落語:「たいこ腹」・「富久」・「愛宕山」・「王子の幇間」・「茶目八」、「羽織の幇間」・「裏の裏」など多数で落語には欠かせない存在。

の登場する落語:「鰻屋」・「素人鰻」・「後生鰻」・「鰻谷」など。


8代目桂文楽の『鰻の幇間【YouTube】


   うなぎ供養塔(三郷市の彦倉虚空蔵尊) 
地図

球の中にリアルなうなぎ像がくねっている。
うなぎは虚空蔵菩薩の使者とか化身といわれ、うなぎを食べない人、地域があるそうだ。

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