「夏どろ」(置どろ) 五街道雲助
★あらすじ 夏の方が戸締りが不用心でこそ泥は、かき入れ時、商売時だ。
夜中に、まぬけなこそ泥が長屋の汚い家に忍び込む。中で寝ていた男に金を出せと脅すが、
男 「なんだ、泥棒か。それじゃ安心だ。金っ気なんかさらさらありゃしねえよ」と、一向に動じない。
あいくちで脅すと、「さあ殺せ」という。男は大工で道具箱を質に入れてしまって仕事に出られず、生きていてもしょうがないから殺してくれという。
泥棒 「いくらで預けたんだ?」、「2円だ」、
泥棒 「この野郎、男のくせして情けねえこと言うな。2円ぐれえの金はどこへ行ったって融通がつくじゃねえか。融通つけて早く仕事に行け」
男 「びた一文、融通がつかねえから、おれは死にたいと思ってるんだ、さあ、殺せ!殺せ!」
泥棒 「おい、よせ、よせよ。大きな声だしやがって。近所のやつが来るじゃねえか。・・・じゃあ、2円やるから道具箱出して仕事に行け」、大した泥棒じゃないと見破った男は利息が3円ついているといいまた金をせびる。そして、着物の質料3円、食い物代も1円せしめる。
あげくの果てに家賃が5つ分溜まっていて払えないから殺してくれという始末だ。仕方なく泥棒は残りの持ち金の11円まで男に巻き上げられてしまう。
すっからかんになった泥棒が帰ろうとすると男が呼び止める。
泥棒 「ふざけんな、この野郎。まだなんか用か」
男 「すまねえ、季節の変り目にまた来てくんねえ」
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★三遊亭金馬(3代目)の『夏泥』【YouTube】
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